一般皮膚科
一般皮膚科
かゆみの強い湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な皮膚炎です。小児で発症することが多いですが、成人で発症することもあります。
生まれつき皮膚のバリア機能が弱く、さまざまな刺激に皮膚が反応して炎症が生じやすくなります。喘息のほか、アレルギー性鼻炎、ダニや食べ物などのアレルギーが起きやすいのも、アトピー性皮膚炎の特徴です。必要に応じて悪化原因を調べるためにアレルギー検査を行っております。
治療目標は「症状がない状態、あるいはあっても日常生活に支障がなく、悪化してもそれが長く続かない状態」となることです。そのために保湿剤やステロイド外用剤を中心とした外用療法、抗アレルギー剤の内服療法などを行います。当院では症状の程度や範囲によって紫外線照射(エキシマライト)や生物学的製剤(デュピクセント®)による治療も行っております。近年では外用、内服治療に対する効果が乏しい患者様に対してJAK阻害剤(オルミエント®、リンヴォック®、サイバインコ®)も適応となり、以前と比較して治療選択肢も増えてきています。これらの薬剤を使用する際には大学病院と連携を取りながら診療を行います。
頭皮、顔などの皮脂分泌が盛んな部位に赤みやフケなどの症状が出る皮膚炎です。かゆみはないか、あっても軽度であることがほとんどです。皮膚の常在菌であるマラセチア菌(カビの一種)が関わり、皮脂が分解された成分が皮膚に刺激を与えることで発症すると考えられています。
脂漏性皮膚炎は、乳児期に発症する(乳児型)または思春期以降のタイミングでみられる(成人型)ことが多く、乳児型と成人型では病気の経過が異なります。一般的に、乳児型は生後2~4週頃に発症し生後8~12か月は自然によくなることが多いですが、成人型は慢性化しやすく、特に中年以降に生じたものはその傾向が強くなります。
治療はステロイド外用剤や抗真菌薬などの外用療法を行います。日常生活では石鹸やシャンプーなどでしっかり洗顔や洗髪を行い、患部を清潔に保つことが大切です。
手に触れる物質の刺激やアレルギーによって手のひらや指先にひび割れや湿疹が生じた状態です。医療従事者や美容師、調理師など頻回に水や化学物質に触れる仕事が原因になることがあります。近年では頻回の手洗いやアルコール消毒が刺激となって生じることも増えています。
こまめな保湿をし、ステロイド外用薬を使用します。それでも改善が乏しい場合は、紫外線照射(エキシマライト)を併用することがあります。
いわゆる「かぶれ」です。原因となる物質が直接皮膚に触れることで生じる湿疹です。ヘアカラー、アクセサリーの金属、植物、化粧品、消毒薬、点眼薬など原因は多岐にわたります。
ステロイド外用薬で症状を改善させるとともに、原因と思われる物質を避ける必要があります。詳しい検査が必要と判断した場合には「パッチテスト(※)」を行います。
※当院では行っておりません。必要と判断される場合は基幹病院をご紹介させていただきます。
皮膚の一部が突然蚊に刺されたように盛り上がり、短時間で跡を残さず消えてしまう皮膚の病気です。赤みや強いかゆみを伴いますが、数時間~24時間以内に治まります。原因を特定できるじんましんは1~3割程度で、多くの場合原因ははっきりわかりません。
必要に応じて血液検査を行い、原因物質が明らかであればそれを避けるようにします。原因がわからなくても抗ヒスタミン薬の内服などによって症状を抑えることができます。当院では多くの内服薬を使っても症状が抑えられない重症な蕁麻疹の方にゾレアの皮下注射を行っています。
毛穴の中に皮脂がたまることで炎症を引き起こす疾患です。おでこ、頬、背中など皮脂が多く分泌される部位にできやすく、思春期に発症することが多いですが、生活習慣やホルモンバランスの乱れ、ストレスなどにより、大人になってからニキビに悩まれる方も多くいらっしゃいます。毛穴に皮脂が溜まってくると白いぷつぷつとしたニキビ(面皰・コメド)として見られ、その中にアクネ菌が増殖して炎症を起こすと赤ニキビとして見られるようになります。
治療は症状や重症度に応じて行います。炎症のない面皰に対してはスキンケアに加え、アダパレン(ディフェリンゲル®)や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル®)の外用をします。炎症を伴うニキビに対しては面皰の治療に加えて抗菌薬の外用を併用します。
当院では保険治療だけでは難治のニキビの方やニキビ跡が気になる方に対して、ケミカルピーリングやビタミンCイオン導入、アクネ菌の殺菌・減少、色素沈着や赤みを除去する目的でIPL(フォト治療)の照射を行っています。
乾癬は、皮膚に赤い発疹ができ、次第に銀白色のフケのようなものがくっつきポロポロと剥がれる皮膚の病気です。主に頭皮や髪の生え際、肘・膝、臀部、下腿などの刺激を受けやすい部位に、出やすいという傾向があります。皮膚以外にも、爪の変形や関節炎を伴うこともあります。はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、体質的な要素(遺伝的素因)に気候、ストレス、風邪、喫煙、飲酒、生活などの外的因子と糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満などの内的因子が加わって発病すると考えられています。
治療はステロイド外用剤や活性型ビタミンD3外用剤を使用します。外用剤のみで改善しない場合には紫外線照射(エキシマライト)を併用することがあります。
症状が広範囲に及ぶ場合や、爪・関節に症状がある場合は内服薬を併用することがあります。重症な場合には生物学的製剤やJAK阻害剤、TYK2阻害剤を使用することがあり、その場合には大学病院などと連携を取りながら診療を行います。
主に手のひらや足の裏にうみをもった小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる皮膚の病気です。膿疱の中には細菌やウイルスなどの病原体は入っていないため、直接触れても人にうつることはありません。手のひら、足の裏の発疹以外にも爪の変形や胸骨・鎖骨・肋骨などに痛みを伴うことがあります。
原因は不明ですが、喫煙、扁桃炎、虫歯などの病巣感染、歯科金属アレルギーが関与することがあります。
治療はステロイド外用剤や活性型ビタミンD3外用剤を使用します。外用剤のみで改善しない場合には紫外線照射(エキシマライト)を併用することがあります。症状が広範囲に及ぶ場合や、胸骨・鎖骨・肋骨などに強い痛みを生じている場合には生物学的製剤の治療が必要になることがあり、その場合には大学病院などと連携を取りながら診療を行います。
多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。全身性多汗症には特に原因のない原発性と、感染症、内分泌異常や神経疾患に合併するものがあります。局所多汗症も原因のない原発性と、外傷や腫瘍などの神経障害によるものがあります。このうち皮膚科では原発性局所多汗症の診療を行います。
脇の多汗症にはエクロックゲル®やラピフォート®、手のひらの多汗症にはアポハイドローション®(2023年6月1日新発売)などの外用薬を処方します。これらの治療で改善がない場合や、副作用などで継続できない場合には、専門施設へご紹介させていただきます。
突然髪の毛が円形に抜けてしまう病気です。いわゆる「10円ハゲ」とも呼ばれますが、1か所だけでなく、複数個所で毛が抜けたり、頭皮全体や全身など広い範囲で毛が抜けることもあります。原因は明確には分かっていませんが、近年では免疫機能の異常が発生する「自己免疫疾患」が関係していると考えられています。
治療はステロイド外用剤を使用します。また症状に応じて局所免疫療法(SADBE)や紫外線照射(エキシマライト)を使用することもあります。急激に毛が抜けてきている患者様にはステロイドの点滴治療をご提案していますが、この治療は入院が必要になりますので、近隣の入院設備のある病院にご紹介させていただきます。近年では6カ月以上経過し、反応が乏しい場合にはJAK阻害剤(オルミエント®)を使用することがあり、その場合には大学病院などと連携を取りながら治療を行います。
皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。なんらかの理由で皮膚のメラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)を攻撃することで発症する「自己免疫疾患」の一種であると考えられています。
治療は免疫抑制剤であるステロイド外用薬を使用します。長期的な外用が必要となるため、副作用を考慮し活性型ビタミンD3外用薬などを使用することもあります。また紫外線療法(エキシマライト)の併用もおすすめしています。
丹毒は皮膚の浅いところ、蜂窩織炎は皮膚のやや深いところで起こる細菌感染症です。顔面や下肢に起こりやすく、発熱、赤み、腫れ、痛みなどを伴います。耳かきでできた傷や足の水虫、リンパ浮腫などが原因となり、糖尿病の方や免疫力が低下している方などでは悪化しやすいことが知られています。
治療は抗生剤です。軽症の場合は内服薬で治療しますが、重症の場合は点滴加療が必要になり、近隣の入院設備のある病院にご紹介させていただきます。
指先に炎症とうずくような痛みを起こす感染症です。爪周囲炎と呼ばれることもあります。ささくれをむしったり、手荒れが起きたり、擦り傷や切り傷があるようなときに菌が侵入して起こります。膿が形成されることもあります。
原因菌は細菌やカンジダ、ヘルペスなどがあり、治療法が異なるため、しっかり診断した上で治療を行います。
白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することにより引き起こされる病気です。爪に感染すると爪水虫(爪白癬)になります。「足の指の間がふやける」「かかとがガサガサでひび割れができた」「爪が白くもろくなってきた」などの症状がでます。足以外に感染するとたむし(体部白癬)と呼ばれます。
皮膚が直接触れた場合だけでなく、家庭内でスリッパやお風呂の足ふきマットを共有することで感染するケースも多く見られます。それ以外にもスポーツジム、銭湯、プールなどの裸足で歩くことが多い場所でも感染しやすいです。
水虫かどうかの診断は角質または爪の一部を採取し顕微鏡で白癬菌を確認することが必要です。
治療は抗真菌薬の外用剤や内服薬を使用します。
単純ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜に感染し、唇にチクチク、ピリピリという違和感があった後、痛みを伴う水ぶくれなどの症状をきたす病気です。一度症状が治まっても、風邪をひいたとき、疲れがたまったとき、抵抗力が落ちたときなどに再発します。また、症状が出ている時期は、直接触れたり、唾液などから他人にうつしてしまうリスクがあるためすぐに対処することが大切です。
治療は抗ウイルス薬の外用または内服です。ヘルペスを繰り返す方に対しては、あらかじめ内服薬を処方し、予兆を感じた際にすぐに服用していただく治療法(PIT療法)もございます。
からだの左右どちらか一方にピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気です。からだの中にひそんでいたヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルスが、加齢やストレス、過労などが引き金となって発症します。みずぼうそうにかかったことがある方であれば、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
治療は抗ウイルス薬の内服です。痛みが辛い方には鎮痛剤も処方します。
・帯状疱疹予防ワクチン「シングリックス」
50歳以上の方は、ワクチン接種で予防することができます。予防効果は50歳以上のすべての年齢層で97.2%、70歳以上での有効性は89.8%と言われています。当院でも接種可能です。
シングリックスは2回の接種が必要で、1回目の接種から2か月後に2回目の接種を行います。2か月を超えた場合でも6か月後までに2回目の接種を行います。
接種費用は22,000円×2回=44,000円 となります。
シングリックスの他、「乾燥弱毒生水痘ワクチン」の接種も可能です。予防効果は3年間で50%程度で言われています。接種回数は1回のみ、費用は8,800円となりますが、免疫低下している方は接種できません。
ワクチン接種ご希望の方はお電話にてお問い合わせください。
皮膚からドーム状に盛り上がった小さなできものの総称を指します。いくつか種類があり、それぞれ対処法も異なります。
皮膚のしみ、ほくろ、できものなどの色素性病変を診察する際、当院では診断のために「ダーモスコピー」というライトのついた拡大鏡を用いています。しみ、ほくろ、できものの治療に際して、良悪性の診断はとても重要となり、ダーモスコピーを使うことで、より精度の高い診断が可能になります。診断に応じて適切な治療法をご提案いたします。
慢性的な機械的刺激によって生じる皮膚の角質肥厚です。足趾の変形や、足の形に合わない靴を履くことで生じます。
治療は厚くなった角質を削ります。月2回まで保険が適応されます。削ることで一時的に症状は軽減しますが、外的刺激が続く限りは再発を繰り返します。足の変形等で局所に刺激が加わりやすい場合は、インソール作成をおすすめします。
巻き爪は爪が曲がって丸くなっている状態です。一方、陥入爪は深爪などが原因で、爪の角がとげのように周囲の皮膚組織に食い込んで炎症を起こしている状態です。これらが合併することもあります。
巻き爪の治療はネイルエイド(爪用矯正器具)の装着を行っています。陥入爪に場合は、テーピングや爪と皮膚の間にコットンを詰めるコットンパッキング、重症な場合には手術を行っています。感染を起こしている場合には抗菌薬の外用や内服を行います。